シャイロックの子供たちネタバレ(結末考察)や意味を解説!

ドラマ
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ryoです。

 

人気作家池井戸潤さんが作家人生の転換作だと語る作品「シャイロックの子供たち」

劇場映画化だけでなくドラマ化が発表されました。

ドラマは2022年10月放送、映画は2023年公開予定です。

https://twitter.com/shylock_film/status/1561473223128010752

「シャイロックの子供たち」のタイトルの意味とは?

シャイロックの子供たちのネタバレや考察を記事にまとめてみたいと思います。

「シャイロックの子供たち」タイトルの意味とは?

タイトルを聴いて最初に気になるのはタイトル名のシャイロックです。

シャイロックのタイトル意味とはなんでしょうか?

「シャイロック」とはシェイクスピアの戯曲「ヴェニスの商人」に登場する人物です。

シャイロックという人物は強欲な人間であり、暴利で金を貸す金貸しです。

本作では小さな東京第一銀行を舞台に現金紛失事件が発生し、その裏に隠れた不正を暴くミステリー群像劇となっています。

タイトルのシャイロックが具体的に意味しているのは物語のキーパーソン(主人公)であり狂言回しを務める「西木雅博」のことではないかと思います。

そして、「シャイロックの子供たち」は西木雅博の部下である北川愛理河野晴子、そして直接の部下ではありませんが西木が赤坂支店時代に作った因果が大きく運命を変えることとなる滝野真のことを指しているのだと思います。

余談ですが、ヴェニスの商人でシャイロックという人物は主人公アントーニオに金を貸す強欲な高利貸しであり極悪人として描かれています。

金を貸す条件に自らの肉を1ポンド(453g)差し出すという条件でアントーニオに金を貸します。この条件をだしたのはアントーニオが見返りを求めず金に困った友人のためにシャイロックの金を利子も付けずに又貸ししたからです。こんなことをされてはシャイロックが本来高利子で金を貸して得られた利益がなくなってしまいます。そうした恨みから金を貸す契約の中でアントーニオに証分を書かせました。(ヴェニスの商人・第3章「人肉裁判」)

シャイロックは極悪人ですが憎むべき悪人というわけではなく、悪人でありながらも情があり嫌なことをされたのだから仕返しをしてもいいじゃないか!と叫ぶ人間味のある人物として描かれています。彼の有名なセリフで人間味が感じられると思います。

おれはユダヤ人だ。ユダヤ人には目がないかよ、ユダヤ人には手がないかよ、五臓六腑、四肢五体がないかよ、感覚、感情、情熱、それもないかよ。キリスト教徒とおなじものを食ってるんだよ、おなじ武器で負傷もすれば、おなじ病気にもかかってる。おなじ治療を受けて、治しているじゃないか、おなじ冬の寒さや、夏の暑さを感じないとでもいうのかい? ユダヤ人は針で刺されても血が出ないとでも? くすぐられても笑わないとでも? 毒を飲まされても死なないとでも? で、あんたらにひどい目に遭わされても、復讐しちゃいけないとでもいうのかい?

「ヴェニスの商人より」

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「シャイロックの子供たち」ネタバレを解説!

それでは早速ネタバレ部分に触れていきたいと思います。

「シャイロックの子供たち」の物語は東京第一銀行という小さな銀行に勤める人間模様を描いた群像劇となっています。

物語の序章は東京第一銀行に勤める人間のバックグランドが描かれ、事情を抱えながらも歯を食いしばって成果を出そうと必死に足掻く者、波風立てずに過ごし日々の業務に忙殺される者、部下をこき使いながらも裏で不正を行いその隠蔽に走る者、本当に様々です。

登場人物が多いので、相関図で表すと下図になります。

そうしたある日、100万円分の現金収支が合わないという事件が発生します。

この犯人探しに乗り出した人物が相談課で課長代理を務める「西木雅博」でした。

早々に結論を言ってしまうと犯人探しに乗り出した西木雅博という人物こそ本作の黒幕であり、この100万円紛失事件の裏にある「架空融資」を計画して東京第一支店から5億円以上の金を奪い取った犯人です。

へらへらとした普段の姿とは裏腹に仕事はきっちりこなすいわゆる仕事ができる人間でそれは銀行内の役職者以下誰もが認めるほど。部下からの信頼も厚い人物でした。

デスクには家族楽しく笑う写真をいれて大切にする家族思いの人物でもありました。

 

西木雅博と言う人物のバックグランドをまとめると以下のようになります。

西木は銀行と言う組織に染まらず地を行くような男で新卒の頃から上司からの評価は決して高くありませんでした。それどころか彼は上司からは疎まれるような存在でした。新卒で配属された二カ店(赤坂支店)で担当した中小零細企業の営業で成績を残し彼の功績で優秀店舗として表彰されるまでの活躍をしました。

ところが風向きが変わったのは支店長が変わってからでした。

交代した支店長はパワハラのオンパレードを行う人物で西木がなぜか気に食わないという幼稚な理由でパワハラの標的にしました。

度重なる怒号、パワハラの末に西木は体を壊し長期休職を余儀なくされます。非常にも銀行という組織で長期休職することは出世街道のレールから外れることを意味していました。

西木を気に入らない支店長は彼を営業から外し西木の意に沿わない閑職に追いやりました。

西木が何度も中小企業への営業担当復帰を希望しても彼の希望が叶えられることはなく、以来数十年大きな昇進もさせてもらえず生かさず殺さずの飼い殺しのまま西木は銀行に在籍することになりました。

更に掘り下げると、妻と二人の子供がいますが別居中で家庭は既に崩壊。

家庭崩壊の原因となったのは兄の会社の連帯保証人となり10億円以上の負債を抱えたことでした。

兄の会社倒産が後に西木が「架空融資」を行う要因ともなっています。

銀行組織に恨みを持ち、以来面従腹背で復讐の機会がくるのをじっと耐えていたその執念には驚かされます。

でも、元々人が良く悪人でもなかった西木が復讐を誓い悪人へと変わってしまった。ある意味西木は被害者だったのかもしれません…

1.現金紛失事件が発生し西木が失踪

事件を時系列順に並べてみます。

100万円分の現金紛失が発生し、犯人として挙がったのが北川愛理でした。

犯人捜しの際に彼女のカバンに入っていた文庫本から現金紛失した日の日付が入った帯封が見つかったからです。ただこれは北川愛理と交際していた三木哲夫の元交際相手である半田麻紀が行った嫌がらせであり、北川愛理は犯人ではありませんでした。(北川愛理への嫌がらせが西木により暴かれ半田麻紀は退職することになるのですが..)

厳禁紛失が親会社にバレれば重要過誤となり自分たちの昇進に傷がつくと考えた支店長九条と副支店長古川の案により、銀行内部の人間で紛失厳現金分を補填し翌日現金が見つかったと嘘の報告書を上層部に報告することで犯人捜しをうやむやにしてしまいました。(北川愛理が犯人である物的証拠はなく犯人が見つからなかったため九条と古川が事件隠ぺいに走ったからです)

この現金紛失事件のあと、西木雅博が突如失踪し物語の幕が上がります。

2.検査部の調査が東京第一銀行支店に入る

西木が失踪した後、相談課の一時的後任に入ったのが竹本直樹でした。

竹本は西木のデスクからロッカーのカギを見つけ謎の紛失物があることを見つけます。

それは文庫本やクリック、手帖、銀行明細など他愛のないものでしたが西木の机から指紋採取キットを見つけたのをきっかけに西木は指紋採取を行い現金紛失事件の犯人探しをしていたのだ気づきます。

紛失物の持ち主探しの途中で通帳がなくなっていることに気づきます。

その夜、何者からに帰り道を付けられていることに恐怖を感じ、ちょうどそのタイミングで広島転勤の辞令が出たこともあり紛失物探しから手を引きました。

それから数日後、東京第一銀行支店に検査部の黒田道春が立ち入り検査に入ります。

黒田の内部調査により東京第一銀行で起きた現金紛失事件の補填不正が暴かれますが、九条の交渉という名の強請(ゆすり)により現金補填の不正は隠ぺいされることとなりました。

これはかつて競馬にハマった黒田が銀行員の立場を悪用して銀行ATMから1000万円を横領し競馬(日本ダービー)に全額かけたことを九条が知っていたからでした。

横領した金を競馬に賭けて見事勝利し2000万円の配当を得た黒田は朝早くひっそりと銀行ATMに横領した金を戻したのですが、銀行にあるはずのないJRAの帯封をATM内に残してしまっていました。ATMに現金を戻し終えたタイミングでちょうど検査部の監査が入りその監査員に混じって監査を行い黒田が忘れたJRAの帯封を見つけたのが九条だったのです。

3.滝野真の架空融資が発覚!

黒田の内部調査と竹本の紛失物調査により、西木の部下北川愛理へと紛失物が渡ります。

同じころ、東京第一銀行支店営業部のエース滝野真が担当する営業先「江島工業」への封筒が融資課の田端洋司の元に回ってきます。主担当の滝野が外出していたため事務担当の田端へ回された封筒でした。

外回りに出かけるついでに「江島工業」へと届けようと田端が外出し、銀行への帰り道「江島工業」へと寄って行きます。

しかし、江島工業の住所にある建物は80億円稼ぐ優良企業とは思えない程、ぼろぼろの古ぼけた事務所でした。しかも事務所の管理人に聞くと江島工業なる会社を知らないといいます。

帰社後、滝野に江島工業の事を聞くと新社屋を建て替え中で金持ちの癖に一時しのぎでボロボロの事務所を間借りしているのだと答えます。

昨日の出来事に違和感を覚えた田端は封筒を回してきた相談課の北川愛理に相談します。よくよく調べてみると江島工業の社長は滝野真としか連絡を取らない。など不審点があり二人で江島工業について極秘裏に調査します。

江島工業の社長・江島宗広の住所を訪ねると古びたアパートがあり住所に住んでいる住人は江島宗広ではなく石本という人物であることを突き止めます。

二人の調査で江島工業への5億円融資契約に捺された印鑑証明が偽造であることが判明します。

こうして田端と北川により営業課エース滝野真が行った架空融資という犯罪が暴かれることとなりました。

4.100万円紛失事件の真相

滝野真の仕事ぶりは凄まじく、滝野が仕事した後にはぺんぺん草も生えないと言われるほど新規開拓案件を受注し、滝野真の営業成績が東京第一銀行支店の業績を支えていると言っても過言ではありませんでした。

滝野は営業課エースという信頼を利用して新規開拓してきた大型案件であれば社長の素性を支店上層部が調べないと踏み、書類上にしか存在しない会社を使って「架空融資」の犯罪をします。

犯罪を犯した滝野ですが、根っからの悪人と言うわけではなく愛する妻と息子がいるただの父親でした。銀行員になった当初は昇進だけがサラリーマンの全てじゃないと口にしていた滝野でしたが彼を変えたのは長い銀行員生活と口癖のように銀行員は偉くならんとつまらんという父の言葉でした。

営業成績が悪く成果を出せないと上司から罵詈雑言を浴びせられ、左遷された先輩を見た滝野はいつしか顧客のことなんかどうでもいい自分が成果を出さなければ、偉くならないと何にもならないと心変わりしていきます。自分の営業成績の為ならいつしか手段を選ばず、契約獲得の為なら平気で顧客を騙すようになっていました。

滝野真が赤坂支店に配属されていた頃に知り合った顧客が石本です。

当時羽振りがよかった石本の会社(赤坂リアルター)への大口融資が決まり、良心の箍(たが)が外れた滝野が石本からのキックバックを受け取ったことが滝野真の運命を決定づけました。

石本の会社が傾き資金ショートとなったことがきっかけでキックバックを受け取ったことをばらすと石本に脅され提案された架空融資詐欺の共犯者に二人はなりました。

印鑑証書を偽造し架空融資を実行した滝野と石本でしたが、石本は今は金がなく融資分の返済ができないといいます。一時的だから滝野に補填してくれと頼む石本。

困った滝野は銀行から金を押領し返済利息100万円分を補填することにしました。

滝野が横領したこの100万円こそ、西木が失踪する発端となった100万円紛失事件の真相になります。

 

「シャイロックの子供たち」結末と考察

滝野真が石本と共犯となって架空融資を実行し、返済利息100万円を補填するために滝野真が横領した100万円が100万円紛失事件の真相になります。

ただ、これで終わりではなくまだ物語には続きがあります。

滝野真が行った架空融資詐欺が明るみとなり、滝野は全てを告白しました。

架空融資を石本と共犯となり実行したこと、100万円紛失事件を調査していた西木雅博は滝野が犯人であると突き止めたこと、口封じに石本が西木を殺したこと。そして、架空融資を企てたのは石本の会社の運転資金に充当するためだったこと。

しかし、警察の調査で石本が架空融資で得た金は会社の運転資金に充てられた形跡がありませんでした。つまり共犯者だった滝野もまた石本に騙されていたということです。

滝野をだました石本は依然、行方知れずのままです。

滝野の供述により事件は解決に向かったかに見えた頃、相談課に在籍し失踪した西木雅博の部下だった河野晴子へ西木の家族へあいさつに行ってほしいと高島課長から依頼があります。

気乗りしない河野晴子でしたが失踪した西木雅博の家族がいる社宅を訪ねます。すると西木の妻から体調が悪く今日は会えないと連絡がありました。

西木の家族への見舞金と西木の私物を同じ社宅に住む高橋さんに渡してもらうように頼まれます。

河野晴子が高橋家を訪れた際に、西木の妻が実家に帰り別居中であったこと、そして兄の会社の連帯保証人となり多額の負債を抱えていることを知ります。

翌日、滝野誠と石本が知り合うきっかけとなった資料を上層部に提出する必要があるので赤坂支店にとりにいくことになった河野晴子。

石本と滝野が行った犯罪の端緒となる資料を目にして興奮する河野晴子でしたが、当時石本が経営していた会社「赤坂リアルター」と赤坂支店がつながるきっかけとなった新規開拓メモを見つけます。

そのメモの営業担当者名は擦れて見えにくくなっていたものの判別できない程ではありませんでした。そこには書かれていた営業担当者名は西木雅博。

なんと赤坂リアルターとの新規開拓を行った営業担当者は「西木雅博」だったのです。

つまり、架空融資詐欺犯の石本と失踪した西木雅博には接点がありました。

支店に戻った河野晴子は赤坂支店での出来事を北川愛理に相談するのですが、二人の考えとして架空融資を企てた滝野が横領したことを西木が見破った。ただ滝野は共犯者の石本から騙されていて、実行犯の石本と西木雅博には接点がある。こんな偶然が起こりえるのかーーーー。

そして二人はある結論に至ります。

「西木雅博が全てを仕組んだ黒幕なのではないか?」という結論です。

世の中には無傷の信用情報や戸籍を高額で買う人間がいるといいます。購入するのは借金に追われ事情を抱えた人間、売るのは金に困った人間。

西木は石本と組んで滝野を利用し架空融資を計画。

全ての罪を滝野になすりつけて自身は死んだことにする。

架空融資によって得た金で新しい戸籍を手に入れ別の人物になりすまして今も生きていると。

「シャイロックの子供たち」ラストを考察!

ラストについてはあくまで北川愛理と河野晴子の考察となっており、実際に劇中で失踪後の西木が生存していることを直接示す描写はありません。

ですが、西木が生存していることを匂わせるシーンがあります。

・物語の最後、河野晴子が亡くなった夫彰彦の三回目の命日に今もこうして私は生きています。と思いをつづるシーン

・家族思いの西木が全てを捨ててまで架空融資を計画し別人になりすます覚悟があったのか?と北川愛理が疑問にする場面で河野晴子が「会えない」「会わない」のは意味が違う。たとえどんな状況であったも生きていてくれたら嬉しい。死んでしまったらもう何も伝えられないのだから。という自身の心境を吐露するシーン

から西木が別人になりすまして生存している可能性が高いと思います。

また、物語のラストで西木ではない40代男性の腐乱死体が羽田沖で見つかっています。

おそらくこの腐乱死体は架空融資詐欺実行犯だった石本であると考えられます。

西木雅博は架空融資詐欺を石本と計画し、滝野に罪を擦り付けたのち石本を殺害して羽田空港から海外へ逃亡。別の人間になりすまして生きていると私は考察しています。

まとめ

池井戸潤さんといえば重厚なヒューマンストーリー。

働くオトナに響く作品が多いですよね。

下町ロケットや七つの会議が好きなので、ふとシャイロックの子供たちを読んでみたのですがラストは考えさせられる物語でした。

ドラマ版では井ノ原快彦さんが劇場版では阿部サダヲさんが西木役を務めます。

お二人がどう悪に落ちていく西木を演じるのかとても興味が湧きますね。

オトナの世界は綺麗なだけでなく不正や裏切りと言う汚い部分もありますが、清廉で正しくあろうとする大人もいるんだという勇気になります。

特に滝野真は家族思いの優しい父親でありながら、銀行という職場に長くいて悪い部分を見続けてしまったために罪を犯してしまったという悲しい人物でもあります。

やはり正しく清廉で胸を張れるオトナになりたいものですね。

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